彼女に促されるまま後をついていくと、ひとけのない学校の裏側までやって来た。


……私になんの用だろう。

今は、そんな気分じゃない。


それでも断れなかったのは、恐らく彼女が明希ちゃんの元彼女だから。


「あんたが高垣未紘だよね?」


振り返りざま、肩で切り揃えられた綺麗な髪を揺らしながら彼女が一言放つ。

そのトーンは、さっきドアの向こうから聞こえてきていた声より、まるでベールを1枚剥いだかのように低くてずっと刺々しい。


「はい」


私と同じほどの背丈の彼女を、まっすぐ見つめて答えた。

すると彼女は腕を組み、憮然とした態度を作る。


「私は3年の小林唯。
知ってるだろうけど、明希の元カノ。
あんた、明希のなんなの?」


……やっぱり元彼女か。