百聞は一見に如かずだ。


驚いたように目を丸くしている明希ちゃんに右耳用のイヤホンを差し出し、左耳用のイヤホンを自分の耳に挿す。


途端に、もう何度も繰り返し聴いた心地よいメロディーが、耳を通して脳内へ響いてきた。


女性にしては低めの歌声は、ストレートに胸に響いてくる。


ギターをかき鳴らすその姿がかっこよくて、私を一目で虜にした人。


目をつぶり、彼女が奏でる音楽に浸っていると。


「……うん、すげーいい声」


音楽をすり抜けるようにして、隣から明希ちゃんのじんわりと呟く声が聞こえてきた。


まさかの明希ちゃんの賛同の言葉が、あまりに嬉しくて。


「でしょうっ?」


思わず興奮して、満面の笑みで明希ちゃんを仰ぎ見る。


すると、目を見開く明希ちゃんの顔がそこにあった。