すると彼女は泣きそうに瞳を揺らし、でもまっすぐに俺を仰ぎ見た。
「私は……生まれ変わったら、一番最初からあなたを見逃さない私になりたい」
ヒロの思いがけない言葉に、一瞬胸がつまり、取り繕うように笑みを浮かべる。
「ありがとう、ヒロ」
「だから、」
──ふと、足が止まる。
ヒロの声が、耳の奥でぷつんと途切れた。
頭を殴られた後のような、ヒリヒリしたショックが前触れもなく俺を襲う。
…………あれ? ヒロの家と俺の家って、どうやって行くんだっけ……。
コタが描いてくれたらしいヒロの家への地図を、今朝あんなに確認して覚えてきたのに。
今朝はちゃんと水族館まで歩いてこられたのに。
なにも、思い出せない。