「君は、なにしてたの?」
壁に腰をついてちょっと屈み、目を覗き込んでくる明希ちゃんの問いに、私は正直に答えた。
「CDショップに行こうと思って」
「CDショップ?
へー。それ、俺もついてっていい?」
「え?」
あっけらかんと放たれた思いがけない言葉に、私は思わず目を見開く。
「知り合いとはぐれたんだけど、連絡とれなくて。
連絡取れるまででいいから、一緒にいてほしいんだけど」
揺るぐことをしらない瞳にまっすぐ見据えられ、私は断る理由を見失った。
謎の引力を持つこの瞳に見つめられて、断れる人なんているんだろうか。いたとしたら、名乗りでてほしいくらいだ。
ひとりが好きだけど、今日くらいいいか。
「別に、いいけど」