──. 明希side
頭上で鳴り響く目覚ましが、深い海に揺蕩う意識を半ば強引に引き戻した。
重たい瞼を押しあげれば、視界に自室の天井が飛び込んでくる。
頭がガンガン痛む。
壮絶な嫌悪感が胸に迫ってくる。
……俺、バスに乗ってて、それで……。
散らかった思考のまま体を起こせば、枕元に1枚の紙を見つけた。
そこには、たしかに俺の字が連なっていた。
「……今日は2018年12月15日……。
俺は、記憶を1日しか保持できない……?」
読み上げながら混乱する。
2018年……?
違う、今は2016年だったはずだ。
その下には、こうも書いてあった。
『机の上に置いてあるノートを読むこと』
「は……?」