この手に、まだ感触が残っている。

追いかけてきてくれた明希ちゃんの手を、思い切り振り払ってしまったあの時の感触が。


誤解して、自分の負の感情をぶつけてしまった。

明確に傷つける意志を持って、ひどいことを言ってしまった。


あの時、明希ちゃんは言ったのだ。

『どうしてか分からないけど、君を傷つけたくないと思った』と。


その言葉の意味が分からず、あまりに無責任だと感じてしまったけど、今ならその意味が分かる。


明希ちゃんは、私を忘れても、追いかけてきてくれたのだ。

それなのに私は──。