「……っ」


もし、虎太郎さんの言うとおりだとするならば、すべての辻褄が合ってしまう。


だけど、それでもまだ分からないことがある。


「明希ちゃんは私のこと忘れなんてしなかった……」


毎日毎日、変わらず接してくれたのだ。それなのに。


すると虎太郎さんが、自分の横に置いていた明希ちゃんのノートを私に見せてきた。

ずっと、なぜここにあるのだろうと不思議に思っていた。


「明希は、高垣のことを忘れないように、このノートに書き留めて毎朝読むことで、無くなっていく記憶を必死に繋げていたんだ」


「え……?」