「……っ」


「……君が、愛おしくてたまらない」


耳元で、あふれた感情を振り絞るように、明希ちゃんが掠れた声で囁く。


「あき、ちゃん」


明希ちゃんの熱と鼓動に包まれていると、ダイレクトに想いが胸に押し寄せてくるようで。

こんな強い想い、目をそらすことなんてできない。


明希ちゃんが体を離し、私の肩を掴んでまっすぐにこちらを見据える。


「ごめん、いろいろ考えさせて」


私だけを映すその瞳には、迷いの色は滲んでいない。

その目を見れば、次に続く言葉は予想がついた。


「俺の昔のこと、ナツのこと、全部明日君に話すよ」


「……うん」


心のどこかが安堵していた。

拒否されてしまったらどうしようと、不安は少なからずあったから。