「未紘ー! 学校なんて休むから心配した!」


登校一番、私は教室入り口で加代子ちゃんに抱きつかれた。

1日会わなかっただけなのに、数年ぶりの再会かのような熱烈なお出迎えだ。


「ごめん。風邪を引いてしまって」


はにかみながらそう返せば、体を離した加代子ちゃんが意外そうに言う。


「風邪引かなそうなのにな」


「そう?」


「風邪細菌なんて全部滅するって感じで」


「なに? それ」


思わずくすっと笑うと、不意に加代子ちゃんがにやにやとなにかを勘ぐるような瞳をした。


「おー? なんだ、今日機嫌よくね?
なにかいいことあっただろ」


思い当たる節は、ひとつだけある。

そんなに顔に出ていただろうか。


「実は昨日、明希ちゃんが家に来てくれたの」