「……っ」
慌ててベッドから飛び降りて駆け寄り、急いで窓を開ける。
「明希ちゃんっ……?」
「はは、起きててよかった。
いかにも、明希ちゃんです」
「どうして……」
「誕生日、どうしても祝いたくて。
なんとなく君が沈んでる気がしたから、来ちゃった」
得意げにピースをして見せる明希ちゃん。
驚きを隠せない表情で見下ろせば、明希ちゃんが柔らかく微笑んだ。
「誕生日おめでとう、ヒロ」
「……っ」
窓枠に置かれた明希ちゃんの手に、自分の手を重ねる。
……冷えてる。
寒い中、こんなに体を冷やしてまで、来てくれんだ。
「すごく……」
「ん?」
「すごく、嬉しい」
まるで童話の王子様みたいだ。
月明かりの中、こんなふうに会いに来てくれるなんて。
「夢じゃない?」
「夢じゃないよ。現実」
「だって今、会いたいって、思ってた。
こんな夜に来てくれるなんて……」
ぎゅっと下唇を噛みしめ、うつむく私の頭の上にぽんと手を置き、明希ちゃんは柔く微笑んだ。
「君のためなら、なんだってしたいからね」