でも、たしかに言われてみればそうかもしれない。


感情がすごく動くようになった。

歌うことだって、少し前の私だったら一生諦めていた。


──それは多分。


「この人と一緒にいる自分が一番好きだなって思える人に出会った」


掛け布団をぎゅっと握りしめ、心に浮かんだことをそのまま言葉にすれば、お母さんの顔がふっと緩んだのが、見ていて分かった。


「そう。よかったわね」


「うん」


ぽわぽわとした頭で頷く。


「明日は土曜日だし、今日はゆっくり休んでなさい」


「わかった」