「そういえば、この前の友達に渡したっつー片想い成就カード、どうなった?」
「え?」
「ほら。アキちゃんって友達に渡すっつってたろ」
放課後、人が減っていく教室で加代子ちゃんと雑談していた私は、突然の質問にどきりと心臓を揺らし、視線を不自然にも泳がせた。
「あー……」
『俺が絶対に振り向かせるから。
ヒロの頭の中、俺だけにするから』
明希ちゃんの熱をはらんだ瞳と掠れた声がリフレインして、今も容赦なく心臓を揺さぶられる。
「私次第、みたいな感じ、というか……」
曖昧な返事に、私の机に手をついて恫喝しているようにも見えかねない体勢の加代子ちゃんが、焦れったそうに眉間に皺を寄せる。
「あ? どういうことだ? それ」
「私もよくわかってないというか」
「もしかして、アキちゃんの片想い相手が未紘を好きだったとか!?
は!? めっちゃ修羅場じゃん!」
「?」
加代子ちゃんの中で、まったく読めない方向へと話が進んでいっている。でもなんとなく話がすれ違っていることだけはわかる。