声が途切れ、大きく肩で呼吸をしていると、不意に波音の狭間に、スマホの着信音が聞こえてきた。


スカートのポケットから取り出して確認すれば、それは二歳年上の彼からのメッセージだった。


『おいしいクロワッサンもらったから明日持ってく』


文面に視線を走らせた私は、優しい明日の予感に、なぜか無性に泣きそうになった。




──そっちはどうですか。今、何をしていますか。

私はもう少しゆっくり歩いてみることにしたから、ちょっと待っていてね、大。


君のことが好きだった、君の幼なじみより。