知らず知らずのうちに息をのんだ、その時。
開ボタンを押した明希ちゃんが体を離し、エレベーターを降りた。
「じゃ、また明日」
大人びた笑みで手を振る明希ちゃんを残し扉が閉まると、いつの間に1階のボタンを押されていたのか、私を乗せて下降していくエレベーター。
な、に……。
ひとりになったエレベーターの中で、私は壁にもたれたまま口に手を当てる。
放心状態になりそうな体を支えるのに精いっぱいだった。
明希ちゃんの射るような瞳が、脳裏に焼きついて離れない。
体感したことがないほど、心臓がかき乱されている。
呼吸が浅い。
なに、これ……。
こんなの知らない……。