「……っ」


それは、あまりにも切ない響きに感じられた。


視線から逃れるようにバッとうつむけば、様々な感情が胸の中で渦巻く。


どうして気づけなかったのだろう。

どうして、どうして。

あんなに一番近くにいたのに。


『俺を利用してよ。
偽物の彼氏。いい案だと思わない?』


『今日は、俺が大くんの代わりするから』


『別にいいんじゃない? 大くんのこと、ムリして吹っ切ろうとしなくて』


『君の大切な思い出、守らないとって思ったら、勝手に体が動いてた』


『桐ヶ谷大くんは生きてるよ。
よかったな、ヒロ』


明希ちゃんは、いつだって私の気持ちを優先してくれた。

それなのに私は──


『明希ちゃんは一番大事な、友達、だから』


手のひらに爪が食い込むほど、ぎゅっと手を握りしめる。


私はなんてことをしてしまっていたのだろう。

どれだけ傷つけてしまっていたのだろう。

どんな気持ちで大とのことを応援して、隣で笑っていてくれたのだろう。