「大くん、けっこんってしってる?」
公園の砂場で砂のお城を作りながら私は、反対側に向き合ってしゃがみ込み、せっせと入り口用の穴を空けている大に話しかけた。
「おー、しってるよ!」
手を止めて、大が顔を上げる。
その頬には、ガキ大将と喧嘩したために絆創膏が貼られていて。
「けっこんしたら、ずっといっしょにいられるんだよ。すごいよね……!
大くんはだれとけっこんするの?」
昨夜、寝る前にお母さんから聞いた〝けっこん〟のお話に胸が高鳴ったままでいる私がそう訊くと、大がにっと白い歯を見せて笑った。
「おれは、未紘といっしょにいたいから、未紘とけっこんする!」
「大くん……」
「だから、未紘はおれの、およめさんな!」
砂まみれの手で、同じく砂まみれの私の両手を掴み、屈託無く笑う大。