「お弁当箱はこのくらい」
腕でいつも食べている重箱のサイズを示すと、加奈代ちゃんが引きつったような笑みを浮かべる。
「それ、ネタじゃなくて?」
「ネタ? 事実だけど」
どこにネタ要素があったのだろうか。
このくらい食べていない人は、本当にそれで足りるのか心配になる。
真面目な表情で加奈代ちゃんを見つめていると、突然こらえきれなくなったように加奈代ちゃんが吹き出した。
「ふははっ。アンドロイドちゃんかと思いきや、めちゃくちゃ濃いキャラ持ってんじゃん。
ますます気に入ったわ。
今まで未紘のこと勘違いしてたの、人生9割損してた気ぃする」
これはどう返すのが正解なのだろうか。
わからなくて、とりあえず「ありがとう」とお礼を口にする。
するとまた加奈代ちゃんはなにが面白いのか、お腹を抱えて苦笑した。