「明希ちゃんは、好きな人いる?」


「え? 俺?」


「うん。明希ちゃん」


「俺はいるよ」


「えっ」


思わず目を見開いた。

こんなにかっこいいしモテるのだから、そういった話がないはずないとは思っていたけど、実際本人の口から聞くとだいぶ衝撃が大きい。


「この学校の人?」


「ヒロには秘密ー」


口の前に人差し指を立て、いたずらっぽく笑う明希ちゃん。


だけど私の好奇心は、むくりと目を出してしまっていた。


「どんな人?」


「えー? なんか全部が、愛しい」


「愛しい……」


「うわ、恥ずいからやめやめ」


黒いピアスに明るい髪色と見た目はとても軽そうなのに、耳をほんのりピンク色に染めて顔を覆う明希ちゃんがなんだか可愛くて。


その人のことが本当に好きなんだろうなということが伝わってくる。

明希ちゃんに好意を寄せられるなんて、すごく幸せな人だ。