「えっ?」


今までは手当たり次第に声をかけていた。


でも今は違う。

この人と友達にならたら楽しいんだろうなと、そんな漠然とした、でも前向きな感情が私を突き動かしていた。


だけど返事はない。

しんとした空気が屋上を包み込んだ。


「嫌だったら構わない。
ごめんなさい、変なこと言って」


突然の自分の言動は引かれるのも仕方ないと引き下がると、彼女の声が慌てて追ってきた。


「あ、いや。ちょっとびっくりしただけ。
あんた、人とは壁作ってるんだと思ってたから。
私はそこら辺の連中とはつるまないのよ、的な」


そんなふうに思われていたのかと、少し驚く。