「実際、あたしがこの紙をあげた35人中、33人が恋の進展してる」


驚異の成功率に、ごくりと唾を飲みこむ。


「お代は?」


神妙な面持ちで尋ねると、柵にもたれるように腕をかけていた彼女は、あしらうように手をひらひらと振った。


「あー、いいよいいよ。あんたにはプレゼント」


「え?」


「あんたの恋、なんだか応援したくなった」


ニッと遠慮の知らない笑顔と共に放たれた思いがけない言葉に、虚をつかれる。


彼女の屈折のない堂々とした言葉と笑顔は、警戒心の隙も作らせない。


胸が、温かい。

この温もりは、明希ちゃんと交わす会話の中に覚えがあった。


「……ありがとう」


そして。


「友達、になってくれない?」


自然と、そんな言葉が口をついて出ていた。