「ははは、だろ〜?
あれは姉ちゃんの自信作らしいから」
「まじで効力すごいよ! ありがとう!」
「おー!」
明るく返事をする、加代子と呼ばれたクラスメイト。
話から察するに、片想い成就とやらを、彼女が贈ったらしい。
着崩した制服に、明るく染めた長い髪をかきあげ、いかにもガラが悪そうな風貌の彼女とは、まだ話したことがない。
だけど、気づけば私の足は吸い寄せられるように、彼女の机へと向いていた。
私が突然クラスメイトの元に歩み寄ったことにより、何事かと教室がざわつきだす。
だけど当の本人は、机に頬杖をつき気怠げにファッション雑誌をめくっていて、教室の異変には気づいていない。
「その話、詳しく聞かせてくれない?」
ざわめきの中、単刀直入に切り出せば、そこでようやくこちらに気づいた彼女は私を見上げ、驚いたように「へ?」と口を開けた。