ねぇ、大。
私、少しずつだけど前を向いていくね。
背中を押してくれる人がいるから。
私のペースでいいって言ってくれたから──。
閉じこもっていた殻を破るように、人間関係を広げるところから始めようと、私は友達作ろう作戦を開始した。
だけど、そんな簡単にうまくいくはずもなく。
「次の授業、同じグループになってほしい」
ペアでレポートを書く化学の授業で、同じグループになってくれる人を探して声をかけるけど、結果はことごとく惨敗。
「ごめん、先に約束してあるから」
「……えっ? ごめん、ちょっとムリ」
みんな、私が声をかけるだけで顔を引きつらせて、逃げるように心の距離を取る。