明希ちゃん曰く、一度も遅刻欠席したことがない素行優良児は、少しのおサボりくらい神様が大目に見てくれるそうだ。
明希ちゃんルールに則ると素行優良児だという私は、今日だけ神様に大目に見てもらうことにした。
「あ、飛行機雲」
「ん、ほんとだ」
オレンジと水色の水彩絵の具が混ざり合った大きなキャンバスに、とても小さく見える飛行機が白いチョークで一本の線を鮮やかに引いていく。
レールなんてないはずなのに、飛行機の軌跡はぶれることなくまっすぐだ。
私と明希ちゃんは、屋上のアスファルトの地面に寝転がり、空を眺めていた。
もう、ずっと。授業時間が終わり放課後を迎えても、ただふたり並んで空を見上げていた。
「夕焼けって、こんなに綺麗だったんだね」
「たしかに」
「こんな高いところから夕焼けを見るのは、初めてかもしれない」
優しい風に吹かれながらだだっ広い空を見上げていると、心が凪いでいくのがわかる。