あれから二年経っても、私の心はあの日で立ち止まったまま。

大が亡くなって、私の心は一緒に死んだのだ。


――けれど、この体は生きている。

どうして大が死ななくてはならなくて、こんな空っぽな私が生きているのだろう――。



授業なんて、まともに聞けるはずがなかった。

ゆっくり進む長針を、心の中で急かす。


そして昼休みを迎えると、私は一目散に屋上へと向かった。


屋上は立入禁止だ。

ドアの鍵が壊れ、入れなくなっていることはみんな知っている。


だけど私は、その鍵が壊れており、開けることも可能だということを知っていた。


屋上へと続く階段は使われておらず、暗くてしんと静まり返っている。

時折聞こえてくるのは、グラウンドでサッカーをしている男子生徒の声だけ。


階段を上る足が重力を感じない。


だれにも聞こえないよう、見つからないよう、足音を潜めて上る。


そして──立入禁止──赤い字で大きく書かれた張り紙が貼ってあるドアの鍵を、ドアノブを持ち上げながら右に回した。