射るように聞こえてきた私の名を呼ぶ声に、私は思わず足を止めた。


次の瞬間、背後から腕を掴まれたかと思うと、ぐっと引き寄せられ、私の体は明希ちゃんの腕に抱きしめられていた。


走ってきた明希ちゃんの不規則な呼吸音が、耳元で聴こえる。


一瞬、まばたきを忘れ、でもすぐにはっと我にかえった。


「……っ、離して……っ」


必死にもがくようにその胸を必死に押し返す。

だけど、私を強く囲い込んだその腕はびくともしてくれなくて。


だめなのに。優しくしてもらう義理なんてないのに。


「私、ずっとあなたに嘘ついてたっ。
大は──大は死んでるの……っ」


廊下に響く自分の声が、悲鳴のように感じた。