「はじめまして、高垣未紘です。
今日はよろしくお願いします」
放課後、鞘橋さんにつれられ、私は音楽室前で軽音部の4人と顔合わせをした。
「お! 噂の天才美少女じゃん!
今日はよろしくね」
「よろしくお願いします」
「迷惑かけてごめんなさい。
でも私のせいで延期にもしなくなくて……。
だから本当に助かったわ」
「力になれるかわかりませんが」
ボーカルの人から挨拶をされれば、なるほど、マスクをした彼女の声は風邪で掠れていた。
たしかにこの状態じゃ、歌うことは厳しいだろう。
話を聞いたときはどうなることかと危惧していたけれど、軽音部の人はみんな、フランクに迎え入れてくれた。