授業中、寝るんじゃねーぞ。

そう言っているはずなのに、そう言うはずなのに、大の声が聞こえてこない。


「……っ」


耳が、じわっと瞬間的に熱を持つ。

焦って思わず耳に手をあてがう。


……どうしよう。大の声が、うまく再生されない。


私の異変に気づき、どうした?と怪訝そうな表情を浮かべる大の姿が見える。


「なんでもない、なんでもないから」


胸の前で手をぎゅっと握りしめ、そう自分に言い聞かせるも、鼓動の騒がしさは収まらなかった。