瞳が灯す光の色が違う。
彼が醸し出す雰囲気が、明希ちゃんらしくない。
知らない人みたいだ。
「明希ちゃん……?」
「だめだよ、ヒロ。そんな簡単に男に気を許しちゃ。
なにされても知らないから」
今更、明希ちゃんがふたつ年上の男の人だってことを悟る。
風が吹き、瞳を隠していたアッシュブラウンの前髪が靡いた。
前髪の下の熱を帯びた瞳と視線が交わり、ドクンと心臓が重く揺れる。
あ……。キス、される……。
思わず身構えた、その時。突然、腕を引かれたかと思うと──。
次の瞬間には、ぎゅっと長い腕に包まれ、抱きしめられていた。