「きれーだね」
「うん……」
明希ちゃんといると、なんだか心が豊かになる気がする。
景色を見て綺麗だと感じられたのは、いつ以来だろうか。
「明希ちゃん」
「なに?」
明希ちゃんに伝えたい言葉が、意図する前に胸に溢れて。
私はそっと笑みを浮かべた。
「今日は、本当にありがとう」
「え?」
明希ちゃんがいてくれなかったから、今頃私は──。
「明希ちゃんが隣にいてくれて、よかった。
すごく楽しかった」
その時。不意に明希ちゃんが私の正面に立った。
背の高い明希ちゃんが、私の上にすっぽりと影を落とす。
そして、すっと伸びてきた明希ちゃんの手が、私の顎をくいとあげた。
「……ヒロ。目、閉じてみる?」
いつもより低い、少し掠れた声が落ちてきて、私は目を見開く。