そして日曜日。
私は、チケットが指定する、街の大きな映画館に来ていた。
大と来ることは叶わなかったけど、明希ちゃんがわざわざくれたこのチケットを無駄にすることは躊躇われた。
だからと言ってわたしに誘う相手がいるはずもなく、ひとりで来たというわけだ。
映画の予告を映しだしている大きなスクリーンが天井に設置されていて、予告の中の車のブレーキ音や、男女の言い合う声が、地鳴りのように耳に響いてくる。
キャラメルポップコーンの匂いが、映画館のロビーに蔓延して、空気が甘ったるい。
映画館が持つ独特な空気に浸るのは、久々だった。
大きなロビーには、ドリンクやポップコーンを持った人、売店になった人など、開場待ちの人であふれている。
カップル用の特典があるだけあって、どこかしこでもカップルが見受けられる。
……映画を見て、明希ちゃんに感想を伝えよう。
大と行けたよって、そう言おう。