そんなことを考えぼーっとしていると、明希ちゃんがスクールバックからなにかを取り出した。
それは、白い封筒で。
「はい」
こちらに差し出されるそれを、躊躇いながらも受け取る。
そして、なんだろうと見当もつかないまま、ぴらっと一枚めくる。
そこに入っていたのは、チケットだった。
CMでも何度か目にしたことがある、月末に公開を控えたラブストーリーの試写会チケット──1枚で2人用のチケットが。
意味がわからず、封筒から顔をあげれば、頬杖をついた明希ちゃんが涼やかに微笑んだ。
「正しくはヒロと大くんに、かな」
「え?」
「大くんを誘って、行ってきなよ。ふたりで」
思いがけない明希ちゃんの提案に、目を見開く。
「……でも」
「俺、ヒロと大くんのこと、応援するために偽彼になったんだから、これくらいさせて?」
明希ちゃんの気遣いが、胸にしみる。
わざわざ買ってきてくれたのだろうか。