「それは. . . 瑓は弟だよ。生き別れた。」

セルーナは息を呑む。

「6年前まで平和だったんだ。でもある日裏切り者のせいで. . .くそっ。あの時私が寝ていなければ. . .。」

「ルイ. . . 。」

「すまない、セルーナ。さ、もうすぐ暗くなる。暗くなる前に寝床まで行かないとな!」

「ブルう!」

ラントは大きな声で鳴く。

「うん?ああ大丈夫だ。食料は持ってる。」

「すごい!動物と話せるの?」

セルーナは目を輝かせて言う。

「あ、ああ。一応. . . な。な、ラント。」

「あ!ラントって名前ルイがつけたの?」

「そうだよ。今まで世話になった動物みんなに名前をつけてるよ。」

「ここだよ。あ、セルーナは水をくんで来てくれるか?」

私は川の方を指さす。

「ええー!川まで遠いわ!ルイが行って来てよ!」

「忘れてたがこの子の治療があるんでな。」

セルーナは口をへの字にして

「分かったわ。その代わり2日分の飲水だけね。」

「ああ。大丈夫だ。」

セルーナはブツブツと文句を言いながら川へと向かった。

「はあー。そうだ!君の名前はナーインにしよう。さて、この薬草を塗るからちょーっと我慢してね。」