怒るセルーナを無視して

「あいつだ。」

指をさした先にはラントがいた。

「ブルう?」

「ラント。こいつはセルーナ。寝床を貸して欲しいらしくて. . . 。」

何かの気配に気が付く。ラントも気が付いたらしい。

「ラント、セルーナを頼む。セルーナ、この子を持ってラントに乗れ!!何かあったら大声で叫べ。」

セルーナは私が声を荒らげているのに反応して

「分かったわ。」

と答える。そしてゆっくりとラントの上に乗る。

セルーナと子馬がラントに乗ったのを見て

「良し。行け!」

「ブルう。」

ラントは全速力で走って行く。

何処だ。何処にいる。

セルーナを追い出しておいて今頃探しに?それとも殺しに?おそらく後者だろう。

「ちっ、面倒なの拾ったな。」

「キャールイ。助けてーー!」

「あっちかくそっ。」

無事で居てくれ3人とも。正確には1人と2匹だがな。

「セルーナ、ラント、無事か?」

「ええ。大丈夫よ。」

おそらく8.9人いや12人はいるな。

「はあー。子供相手に大の大人12人って酷くない?」

そう言いながら木の枝を拾う。

「なんだと!?総員、攻撃!」

木の枝ですきができている急所を狙う。

気が付くとあとは隊長だけになった。

「なんだ、もう終わり?手応えないね。」

「なんだとガキが!私を誰だか知ってるのか?国軍総隊長だぞ!」

「あっそ、それが?国軍総隊長様が子供に負けたって国王が知ったらどうなるんだろうね?」

みるみると総隊長の顔が青くなっていく。

「ほら、すきができた. . . 」

私はボソッと呟く。

「うぐっ。」

「情けない声を出すなあ。」