白髪の子は子馬を罠から外して自分の服をちぎり子馬の足からでる血を止血する。

そっとその子の近くまで行った。
が、急に振り向かれて目が合う。

「わ、私は決して怪しい者ではない!」

驚き変な声が出る。

「ぷっ. . . ふふふっ。ごめんなさい、なんだかお可笑しくって。私はセルーナ・バルトスよ 、あなたは?」

「私は神崎琉瑋だ。バルトス. . . 王女か。家出か?」

セルーナは目を伏せて

「家出ではないの。追い出されたの. . . 。」

「追い出された!?」

「私の見た目が悪いの。白髪で金色の目なんて。私を見てみんなまず何を言うと思う?」

「分からない。」

正直に言う。

「恥さらし、ブサイク、人間のゴミ、存在価値のない子. . . 。」

セルーナは思いつく悪口を淡々と言う。

「ああ。何で白髪で金色の目で生まれたの?琉瑋は綺麗な銀色の髪に琥珀色の目ね。いいな。」

私にはセルーナの最後の『いいな』の意味がよく分からなかった。

「ところでその子馬、どうもありがとう。」

「あなたの子馬?」

「いや、初めて会う。でも友達だ。」

「あなたって変な事言うわね。」

「あなたじゃなくて琉瑋だ。それと変な事言うは余計だ。」

セルーナはモジモジしながら言う。

「分かったわ。ルイ。その、厚かましくて悪いけど私の今日の寝床を貸して欲しい、です。」

ちらっと上目遣いで私を見る。

私ははあーとため息をついて

「分かったついておいで。君もねヨイショっと。」

普通に子馬を抱き上げると、セルーナはびっくりした顔で私を見る。

「重くないの?」

「これが生命の重さだからな。」

「へー。『生命』か。私は大切にされたのかな?」

私は言葉を詰まらせる。

セルーナはそんなルイの顔を見て

「冗談よ。さ、早く行きましょう。」

「そうだな。」

私は走る。大分遅めに走っているが、セルーナは追いつけていない。試しに早歩きをするとギリギリついてこられる速さになった。

「足. . . 遅いな。」

「余計なお世話よ!!」