「お姉ちゃん!お姉ちゃん!ドアが開かない!」

「大丈夫か?瑓(れん)?くそ、鍵がかかっている. . . ゴホゴホ」

ヤバい、早くここから出なきゃ私達は死. . .

「いや、そうなる前に脱出ゴホゴホ」

「お姉ちゃん. . . 僕はいいから逃げて!」

瑓の事を無視して何度もドアに向かって体当たりする。

だがドアは特別頑丈で一向に壊れる様子もない。

「ちっ、どうすれば. . . 。」

突然後ろから手が伸びてきて口に布が当てられる。

「ほまへ!なひほふ. . . 。」

身体が思う様に動かない。

これは毒. . . か。

しばらく歩いて城から出たのが分かる。

そしてゆっくりと地面に降ろされる。

「すみません、琉瑋(るい)様。少々手荒な真似をしてしまって。瑓様は私の部下が救助しています。」

ああカインドか。
カインドの部下なら安心だ。

「こっちに逃げたぞ!」

逃げた?誰が

「ちっバレたか。琉瑋様。」

何がバレ. . 唇に何かが触れる。そして

「今まで密かに思い続けてきました。多分ここで私は死んでしまう。でもお忘れないよう。私があなたの事を. . . 。さようなら。」

今の、キス?そんなことありえない。

だってカインドはクールでいつも私のことを見守ってくれて私の初恋の. . .

「いたぞ!あいつだ!」

だめ!行かないで!カインド!

「バイバイお姉ちゃん。」

瑓の声. . .

瑓まで私を置いていかないでよ. . .




「瑓!カインド!」

暖かく柔らかな木漏れ日が顔に当たる。



「はあはあ. . . ゆ、夢か。久しぶりだな。」

カインド. . . もうこの世にいない私だけの騎士。そう私だけの。

いやいや。
今旅をしているのは瑓を探すため、瑓を。

そう言い聞かせて自分の頬を軽く叩く。

あれからもう6年経つ。
私ももう16歳、カインドは今生きていたら18。ってカインドじゃなくて瑓!
瑓は10歳かな?

もっと、もっと探さないと瑓は見つからない。じゃないと私は. . . 。

「ブルう。」

「ああラントか。寝床と果物ありがとう。じゃあ瑓を探してくるよ。じゃあな。」

今日はバルトン王国。
瑓は多分いないと思うが. . . 。