強引に胸元に差し出されたその小包を受け取らない訳にはいかないぐらいの距離だった。




いや…だからさぁ…。





少しの沈黙にまたニッコリと微笑む彼女。




差し出された小包を突き返そうと手に取った瞬間、彼女はあっという間に手を離して私に渡してしまった。




えぇ〜?!



ちょっと待ってよ!!





「いや、本当に困るんですけどっっ」




形勢逆転、手に持ってしまった小包をさっきの彼女に押し付けようとしたけど…だめ…。





目の前にいる彼女は私を無視してバッグの中から、一枚の髪を取り出して言った。







『試供品としてお納め下さいね。それなら問題ないですよね』




相変わらず美しい彼女の微笑みは絶えず…。





「まぁ…そうだけど…」




あまりにも流れのいいテンポに思わずため息が漏れた。




試供品、ね…。




改めて小包を見直すとSAMPLEと印字されている。






化粧品か健康食品かなんかかな…?





怪しいけど、サンプルだったらいいけど…。





イマイチ納得がいかないまま、



用紙を見つめる彼女から商品の説明があるのかと待ってる自分が情けない。