あっ、と彼女は一旦小包を持つ手を下に降ろし、また微笑んだ。


『ご安心下さい。お金を頂こうとか一切ありませんから…』





身体でドアを支えながら応答する私に彼女はまたニッコリと頷いた。





なんか、胡散臭い…。




主婦の自然防衛が働いたのか、私は何げに家の中を振り返って言った。



「ごめんなさい…今、主人が居ないから分からないわ…ちょっと……」





無理に繕った困った顔に自信はないけれど、




いつも思わず玄関で対応してしまったこんな押売りに使う手だ。




彼女はチラッと私の奥を覗き見ると、今度は真顔でこう言った。






『分かりました。でわ必要なければ玄関の外にでも出しておいて下さい』



そう言って小包を私の胸元に差し出した。





いや、だからさぁ…、




要らないのに…。





思いつつも、真顔の彼女の凛々しい瞳に吸い込まれそうになる。