すっかり空になったグラスを持ちかけて空を仰いだ。



気持ちよい秋晴れ。




雲一つないこの大きな空のように、





こんな風にひねくれた私の心も変わってくれないだろうか…。






「これ、気になる?」



美恵が首にかけたダイヤのBVLGARIを指でつまみながらにやりとした。




やっぱり見てたのバレてんじゃん…。





「…え?ううん…ってかさ、初めて見るなーと思ってね」 



とっさに発した言葉に、また私の心に雲がかかる。




本当はムカついて仕方ないのに。





それ、欲しくてたまらないのに。






もしかしたら、




私がそれをつけてたかもしれないのに。