「あ、そうだ! 安城、今度の土曜日!
覚えてる? 勿論空けてるわよね?」

……またこいつは。

もう何度目だ、このやりとりは。
予定も聞かずに勝手に空いてるだろって決めつけるこれ。

今更抗議しても仕方ないし、実際特に予定もない俺は、すんなり壺山の言葉に頷いた。

「……空いてるけど?」

「やっぱりね」

何故か得意げな顔に若干いらっとしつつも、まぁいいか、と思えてしまう。

この壺山の、上からな勝手な言いぐさが何故か嫌じゃない現象と、やっぱり壺山だなってこの感じ。

壺山らしさ満載なそれら全部をひっくるめて、俺は心のなかでこっそりっそりと「壺山ミラクル」と名付けていた。