悶々と考えている内に目的地に着いた。

相変わらず人気が無い浜辺に、太陽に照らされ宝石のように輝く海。


いつもと何一つ変わらないはずのこの場所。
だけれど今日は、白く輝いている浜辺とは正反対の影がひとつ、静かに揺られている。


この場所に人がいるを見るのは、林へ山菜を取りに来ていたお爺さん以来だ。

見かけないセーラー服を着た女の子は、俺と同じように独りで海を眺めている。


足を止めて彼女の様子を見ていると、靴下やローファーを脱ぎ、海へと入って行った。


脳内に最悪なシチュエーションが再生される。

俺の足は、自然と彼女の方へ動いていた。


名前も知らない彼女の元へ懸命に走るが、砂に足を取られて思うように進めない。

いつもはその輝きで俺を励ましてくれた綺麗な砂浜も、今だけは恨めしくて仕方なかった。



「ねえ! なにしてんの!?」



──駄目だ、俺の足じゃ間に合わない。


そう思って声を張り上げたが、彼女は止まらない。

俺の声なんて聞こえてないかのように、女の子はどんどん海に吸い込まれていく。



「ねえってば! セーラー服を着たあんただよ!」



すると、ようやく女の子は歩みを止め振り返った。

黒目がちな瞳で、物珍しそうに俺のことを見つめている。


俺はというものの、安堵と疲労が一気に襲って、息を落ちるかせるのに精一杯だった。