杏美に連れてこられたのは、どうやら階段裏みたい。

事情を話せば電気を点けてくれたから助かった。


それにしても、彼女のまわりには目が不自由な人でもいるのだろうか。

手を貸してと言えば、たいていの人は私の手をつかんで引っ張ってくれる。

それだと、見えない人は怖いのだ。

でも杏美は腕をつかませてくれた。

これは、慣れてる人の行動だ。

……まあどうでもいいけど。

話ってなんだろう?なんて思っていると。


「永塚さん……咲夜って呼んでもいい?」


「いいよ~自分は杏美って呼んでるしね~」


「じゃあ、咲夜。自己紹介、しようか」


ここまできて、それですか。

いいけどさ。