「滑っただけですよ~」

「へぇ?」


うわー。
含みのある言い方だね、波月。

まぁいいや。
ここは知らないふりをして、さっさとどこかへ行こう。


「キミ、名前は?」

「え?永塚です」

「じゃなくて、下の名前だよ」

んー。面倒くさくなりそうだし。

「自分は永塚姉だよ~」

向こうに陽の当たっている庭が見える。
よし、あそこに行こう。

「バイバイ~」

秀弥と波月の方は見向きもせず、歩いていった。