私は「はあ……」と、肩を落とすように零の寝ているベッドへと座る。
無意味に天井を仰いだりしながら、静かな保健室ではカチカチと時計の音だけがやたらと響いて聞こえた。
「お前ってさ」
「なによ」
ガサッと、布団が動いて背を向けていた零がこちらに体勢を変えたんだって分かった。
それでも私は振り向くことはなく、お昼ご飯は学食でなにを食べようとか、そんなことばかりを考えていた。
「こんなに髪の毛くるくるだったっけ?」
零は確認するように、後ろから私の肩まで伸びた髪を指先で触っている。
「デジパーかけたんだよ。ってか今さら?美容室行ったの一週間前だし」
本当は入学する前の春休みにかけに行く予定だったけど、パーマ禁止の学校もあるし、どんな校則があるか分からなかったから。
それなりに規制されているけれど、あまり身だしなみに厳しくはなく、みんな髪染めをしたりピアスを開けたりしてる。
……私も、開けようかな。
でもいまだに注射で泣くほど怖い私が皮膚に穴を開けるなんてことができるんだろうか。
……ム、ムリだ。想像しただけで、ちょっと血の気が引いてくる。