「巻き込んどいてシカト?成績下がったらどうしてくれるわけ?」

「安心しろ。地学なんて学んでも将来なんの役にもたたねーよ」

「そんなの分からないでしょ。そう言うなら零こそなんで地学を選択したの?他を選べばよかったじゃん」

「他も一緒だよ。だいたいお前だって消去法で無難に選んだだけだろ」

「う……」

言い返したいのに図星すぎてなにも言えない。


たしかに数学が得意じゃない私は物理だけは避けたかったし、実験はキライじゃないけど要領が悪くてグループだと足を引っ張ってしまうため化学もダメ。

生物はもう論外というか、生物室の匂いとホルマリン漬けのカエルやヘビがいるだけで精神的にムリ。

そうなると、零の言う通り私は興味なんてないけれど、地球の自然を学ぶほうが無難だと思って地学を選択した。


そういう私の心理を、零はことごとく見抜く。

そしてバカにしたように笑うから、零と一緒にいて機嫌よくなかったことがない。零はある意味、私を怒らせる天才だと思う。