「ねえ、ちょっと!」

午前の授業が半分を過ぎても、零はずっと寝たまま。普通だったら叩き起こされるところを先生も見てみぬフリ。

まあ、零の寝起きの悪さは尋常じゃないし、成績に響かないのなら黙視でいいだろうと、特別扱いされてるところも私的には気に食わないわけで。


「あ?」

思いきり身体を揺らすと、零は睨むように顔をあげた。


「次、選択授業だよ」

うちの学校は理科は必須項目ではなく、物理、科学、生物、地学と四択で選ぶ決まりになっていて、私が選択しているのは地学。

科目ごとに先生や教室も違うため、移動しなきゃいけないのに零はお構い無しに知らん顔。



「同じ地学でしょ。行くよ」

「行かねえ。寝る」

「は?どんだけ寝たら気が済むの?ここの教室も他の人たちが使うんだから邪魔でしょ」

「うるせー」

「うるさいじゃない!」


私と零のやり取りを聞いて、クラスメイトたちのほうがひやひやとしていて。周りに気を遣わせるほど不機嫌な零は本当にガキだと思う。

こんなお節介なことは私もしたくないけど、同じクラスになっちゃったし、零に強く言えるのは私しかいないから。