蓮のおかげですっかり機嫌を直した私は軽快な足取りで、学校に到着した。
自宅から学校まではおよそ10分。蓮となら30分でも一時間でもそれ以上でも歩けるのに、夢心地な時間ほど過ぎるのは早い。
「蓮くんだ!今日もカッコいいー!」
同じように登校してきた生徒たちが蓮を見て目をハートマークにさせている。
学校で一番美人だと言われている三年の先輩も蓮のことを狙っているらしいけど、蓮は今までどんな人に告白されても断ってきた。
そんな落ちない蓮に『実は女の子に興味がない』なんて、噂も過去にはあったけど、そこら辺の事情は私でも聞いたことがない。
他の人に取られるぐらいなら、いっそのこと相手が同性だったほうが傷も浅く済むかもなんて考えている私はただの臆病者なだけ。
蓮に恋のことを聞けないのは、私が蓮に恋をしてるから。
〝あの日〟から、私の永遠の初恋は続いている。