王子さまのように爽やかな蓮と違い、零は目つきが悪くて学校では怖いと言われている。
性格も顔も蓮とは異なっていて、共通点があるとすれば同じ日に生まれたということだけ。
血液型も違うし、つねに優しい蓮を見習えってぐらい零は私に対して乱暴だ。
だから私たちは昔からケンカばかり。きっと根本的に相性が合わないんだと思う。
せっかく蓮とふたりきりの時間なのに、私は零のことを思い出してまた顔が険しくなっていた。
「チビなんて、ひどいよね。莉子は小さくて可愛いのに」
「……へ?」
蓮はどうやら私が零の言葉で傷ついてると思ったらしい。そういう優しいところが本当に好き。
それで、なんだか不意討ちにご褒美をもらったような気分。
「か、可愛くないよ、私なんて……」
自分でも単純だなって、呆れてしまう。さっきまで不機嫌だったくせに、もう顔を熱くして恥ずかしくなっている。
「可愛いよ、莉子は。ずっと」
蓮のニコリと微笑む顔。
152センチしかない私と178センチある蓮との身長差は26センチ。
並んでいると顔がよく見えないと蓮は顔を覗きこむのが癖で、私はそのたびに鼓動を速くしている。