「そのウサギも莉子みたいで可愛い」

蓮の指先が私の胸を指す。


「ブ、ブタに見えない?」

「ん?見えないよ。ウサギでしょ?」

「うん!ウサギ!どう見てもウサギ!」


お気に入りすぎて何回も洗濯してるから、もしかしたらブタっぽくなってる可能性もあるかもと不安だったけど、おかしいのはやっぱり零のほうで安心した。

おまけにまた可愛いなんて言われちゃったし、鼻唄を歌っちゃうぐらい私は上機嫌だ。


「お皿は私が洗いますね!」

テーブルの上は片し終わり、あとはシンクに重なっている食べ終わった食器だけ。


「あら、莉子ちゃんはゆっくりしてて。洗い物は蓮がいつもやってくれるのよ」

「そうなんですか?」

学校でも気配り上手だし、家でも手伝いをしてるなんて、本当に蓮は昔から欠点がひとつもない。


「そうだよ。莉子は座ってて」

後ろから腕捲りをした蓮が話しかけてきた。

捲った腕がとても男らしくて、それだけでキュンとしてしまう私は重症かもしれない。


「わ、私にやらせて!蓮は突き指してるでしょ?だから……」

「なんで俺が突き指したって知ってるの?」

「え……」


たしかに蓮は痛めたところに包帯などは巻いていなくて、見た目だけでは突き指したとは分からない。

でも、私は知ってるのだ。だってあの時保健室にいたんだから。