「隣、俺の部屋だから襲いにくるなよ」

「だ、誰がアンタなんかを……」


言い返し終わる前に、零はスタスタと階段をおりて行って、消化不良な気持ちだけが私に残る。


雪子おばさんも蓮も優しいのに、なんで零だけあんなにひねくれてるんだろう。

その前に、この部屋の隣が零なんて先が思いやられる……。


そのあとは晴彦おじさんも早めに帰ってきてくれて、私の歓迎パーティーならぬお好み焼きパーティーをやってくれた。

早川家の食卓に私がいるなんて、気持ちがふわふわとしてしまったけど、それ以上に雪子おばさんのお好み焼きは美味しいし、晴彦おじさんは酔っぱらって私にビールを勧めてくるし、本当に楽しいひとときだった。


「可愛いね、それ」

食べ終わった食器をキッチンへと運んでいると、蓮が私のワンピースを指さした。


「ほ、本当?」

……最後まで悩んでいたけど、これを選んで良かった。


「莉子ってピンク似合うよね」

「似合うっていうか、好きだからいつも選んじゃうんだよね」


色んな洋服にチャレンジしたい気持ちはあっても、背が低いし、スタイルもよくないしって考えたら、結局いつも同じような色合いやデザインのものを買ってしまうのだ。