「ム、ムリ!」
私が蓮と零の家に住む?
遊びにいったことは数えきれないほどあるし、むしろ泊まったこともあるけど、住むとなればまったくの別問題だ。
「ずっとじゃないわよ。夏休み前にはリフォームが終わる予定だからたったの1か月じゃない」
「い、1か月も?」
せめて、1週間……いや、1日だけとかだったら私も蓮との距離を縮めるために心を踊らせて行けた。
でも、1か月って……。その間、朝も夜も顔を合わせるってことでしょ?
私が必死で直している寝癖も、絶対鼻唄を歌ってしまうお風呂も、寝る前にやってるストレッチも、全部蓮に知られてしまう可能性があるってことでしょ?
ダメだ。なるべく可愛い姿しか蓮には見せたくないのに、ひとつ屋根の下になれば色々と粗が見抜かれてしまう。
「私もお母さんの社宅に住みたいです!」
ピンッと、アピールするように右手を高々と挙げた。